常識
突然ですが、中世ヨーロッパ(といっても幅広いですが)で、どんな食事が行われいたかご存知でしょうか。
ヨーロッパの食事作法といえば、ナイフとフォークとスプーン。
一皿ずつ、ちょっぴりずつ出される料理。
静かな空間での落ち着いた食事風景。
そんなイメージがありますよね。
ところが、実はフォークやスプーンが定着したのは17世紀~19世紀にかけてのことで、
それ以前は手づかみで食べるのが普通でした。
パンや肉はともかく、スープも指ですくって飲みます。
王宮では、「いかに優雅にスープを指ですくうか」が作法として重視されました。
また、庶民にはそもそも「皿」がありません。
代わりに使われたのは、堅くなったパン。
板状に焼いたパンにスープなどを乗せ、最後には器まで食べてしまっていたそうです。
さらに、あの一皿ずつ料理を持ってくるスタイルは、実は「ロシア式給仕法」であり、
それが伝わる以前の「フランス式給仕法」では、テーブルの中央に山盛りにした料理を
小皿に取り分けて食べます。なんだか、豪快なホームパーティという感じですね。
ちょっとびっくりするような食べ方ですが、当時はこれが「常識」でした。
今のわれわれの「常識」とはずいぶん異なっていますね。
しかし、こうした食べ方にもさまざまな利点があります。
骨付き肉やパンが主体だった当事の食生活では、手づかみのほうがむしろ食べやすいのは想像にかたくありません。
また、大皿から肉料理を切り分けるのは主催者の役割で、
この行為には主催者の権威を象徴する役割があったそうです。
逆に、スプーン、フォーク、お皿などを用いた今の食べ方のほうが理にかなっている面もあるでしょう。
「常識」は、その人が生まれ育った時代や場所によって大きく変わります。
ある人にとっての「常識」が、他の人にとっても「常識」とは限りません。
あなたが「常識」と思っていることは、本当に正しいのでしょうか? いつのまにか、正しいと思い込んでいるだけではないでしょうか?
受験勉強もそれと同じ。今のあなたのやりかたは、あるいは、今の目標は、本当に正しいのでしょうか?
正しいかもしれませんし、間違っているかもしれません。肝心なのは、常に疑いの目を持ち続けることです。
今、自分が何をすべきか。決してひとつの「常識」に固執することなく、常に模索し続けましょう。
もし道を見失ってしまったときは、KLCセミナーへお越しください。講師陣から、道を探り当てるアドバイスをさせていただきます。
大高校 杉本