長期記憶のコツ~「復習は忘れる前に!!」はウソ!?~

2024年1月24日倉敷校

みなさんこんにちは!
2か月ぶりに自分のブログの順番が回ってきました。いくつかあるテーマ候補の中から、今回はある勉強法とその効果について書きたいと思います。

ちょうど今(2月一杯)、新学年に向けて保護者の方と面談をさせていただいていまして、この「勉強法」が、「志望校」や「反抗期」と並んでよく出てくる話題の一つなんです。

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科学的に否定された勉強法
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昔から知られてきた勉強法には、科学的に実験検証したらほとんど効果が無かった!というものが少なくないそうです。今日はその中から1つピックアップします。


■■■「復習は忘れる前にやりましょう!」はウソ!?■■■

そもそも脳は、知識をインプットしている時には(長期)記憶として定着してくれません。
その知識を引き出して使う時=アウトプットする時にこそ記憶は定着していくものなのだそうです。ですから授業で初めての内容を講義を聞いている時や、同様にテキストで初めての内容を読んでいる時というのはすなわち知識をインプットしている訳ですが、この時に「なるほど!」と理解しても、それはそのまま長期記憶にはならないということ。
つまり<理解>と<記憶>は別物なのです。

脳科学的には、記憶には一時記憶、短期記憶、長期記憶の3種類あると言われています。ここで<理解>と言っているのは一時記憶~短期記憶の範囲での脳へのインプットと思ってください。脳での保持時間は数十秒から数十分です。平均をとるとだいたい20分しか残らないそうです。いずれにしても勉強して覚えて使えるようになるためには長期記憶に達さなければ意味がありません。

授業で学んだことを、授業後に自習室に残ってやるとかその日の夜まだ覚えている内にもう一度やるというのは、結構できるので満足感高いですよね。
これは自分が<理解≒短期記憶>できているかという確認には良いことです。でもここでやったことはまだ長期記憶になったかどうかは定かでないのです。最初に理解しただけの短期記憶では、保持時間を過ぎてしまえばどんなに賢い人でも忘れてしまうのです。

短期記憶が消えてから、その知識を引き出そうと「あ~何だったっけ~?」と思い出そうとする。次の授業の前にもう一度解き直しをする行為こそが知識の長期記憶化のために必要なのです。
・・・この「思い出す行為」こそが記憶を引き出す<アウトプット>であり、この時に知識は長期記憶として頭に刷り込まれていくとのことです。

実際の具体的場面を考えてみましょう。
宿題をちゃんとやって、間違えた問題の解き直しをしますよね。でも前回やった時の答えをまだ覚えた状態(短期記憶の状態)でやると、「あ、この問題の答えは確か○○」と、解かなくても答えが書けてしまうことがあるでしょう?その結果、次の授業の冒頭のチェックテストで合格点が取れないという経験、心当たりがないでしょうか?・・・あれは「解き直し」をやるタイミングが早すぎて、ただ短期記憶を確認しただけの作業になり、解き方の知識のアウトプットになっておらず、知識が長期定着しないでチェックテストを迎えてしまったからです。


■■■その他の誤解されがちな勉強法■■■

  1. テキストを何度も読み返す
    科目にもよりますが、これもその場での短期的な理解の確認にはなっても長期記憶として定着しにくいそうです。なぜなら時間を空けずにただ読むだけでは、インプット=受け身の勉強法にしかなっていないからです。何回か読んで、時間を空け、次にテキストを閉じて空で言えるように練習までしてやっと記憶定着につながってくるのです。
  2. アンダーライン、ふせん
    これらは意味が無いと言われる最たるものです。線を引いたことで満足してしまいがちで、長期記憶とは無縁の動作と言えるでしょう。
  3. 要約
    要約というのはテキストなどの知識を短縮、要約してノートの取ること。項目だけをノートに箇条書きで書いておくことなど。これもただの書き写しの作業に過ぎず、脳はインプットに対して受け身の状態であり、能動的(アクティブ)には働いていません。これは後で述べるやり方次第では意味が出てきます。


    ■■■記憶の長期化のためにはどんな風に勉強すればいいのか?■■■

【1】少し学んだら(インプットしたら)、思い出す(アウトプットする)を繰り返す

先に述べた通り、人間はインプットする時に長期記憶化するのではなく、時間を空けてから思い出す時(アウトプットする時)に長期記憶化していく訳ですから、思い出す回数を増やした方がいいことになります

<1日の勉強の仕方>
具体例としては、たとえば1時間あったら、まるまる一つの教科を勉強するのではなく、20分数学、次の20分は英語、次の20分は理科、、、といった具合に時間を細切れにして勉強し、各20分の終わりに学んだことの振り返り(記憶の引き出し)をしていく。この学習方法を「分散学習」とか「インターリーディング」というのだそうで、1つのことをやり続けるよりも引き出しプロセスが入るのでずっと効果が上がるそうです。

<本の読み方>
同様に本の読み方についても、1ページ読んだらすぐに次のページに行くのではなく、今読んだページに何が書いてあったか思い出すというプロセスを入れてから次のページに行くという読み方をすると、本の内容がずっと頭に残るそうです。

<ノートの取り方>
授業でノートをとるときも、黒板を見ながら取ってはダメなんです。これはただの作業にしかならず、何も脳に訴えていません。黒板を見ないようにして思い出しながら、なるべく暗記でノートを取る。このやり方が大事です。ちなみにこのノートのとり方は、KLCのトップの城田先生も日頃から提唱されているやり方です。


【2】10歳の子供に教えるつもりで説明を書き換える・・・比喩と簡単な解説
先ほどダメ出しした「要約」を効果的にする方法です。
難解な概念をどうすればわかりやすく記憶に残りやすいものにできるのか・・・。

そこで登場するのが比喩すなわち<たとえ話><明確な解説(簡単な説明)>です。
これらを用いることで知識が脳に長く残りやすくなるのだそうです。そもそも人は物事を理解しようとすると複雑なところに目がいってしまい、後で思い出そうとしてもなんだったっけ?となりやすいのですが、それはインプットしている解説や言葉が難しすぎるからなのだそうです。

そこで、その知識を10歳の子供に分かるように、たとえ話を用い、簡単な言葉で書き換えてから記録しておくのです。脳は難解なことよりも分かりやすいことを記憶に残す傾向があります。だから同じ知識でも、簡単な表現に変換してやることが大事です。これは授業で説明を板書するときにも心がけていることです。簡単な表現にしておいた方が生徒の頭に残りやすいのですね。

ですから学習して理解できたら、じゃあ次に行こうではなくて、10歳の子供に説明するときになんて言うかなと考えて、わかりやすくてシンプルな概念に変えて記録するというのが非常に効果的なのです。

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では最後に、ここまでの振り返りをしてみましょう。ここまでどんなことが書いてありましたか?

記憶の長期化のためのキーワードは、
  1.忘れてからあるいは忘れかけた頃に思い出す(アウトプット)作業をすると長期化しやすい。

  2.脳は簡単なことを記憶しやすいので、10歳の子供に話して分かってもらえるたとえ話、言葉で書き換える!

といったところでしょうか。ぜひ実行してみてください!



                         
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