出会いの季節~柳生家の家訓に学ぶ~

庭瀬校

新学期ですね。
私の娘も今日は始業式。
「新しいクラスは先生誰かな~」「〇〇ちゃんと一緒になったらいいな~」
と言いながら登校していきました。

新しいクラス、新しい学校、新しい職場…4月は出会いの季節ですね。
そんな時期に心がけておきたい言葉をご紹介します。

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江戸時代、徳川の剣術指南役を務めた柳生(やぎゅう)訓だそうです


小才は、縁に出会いて縁に気づかず。
中才は、縁に気づいて縁を活かさず。
大才は、袖すりおうた縁をも活かす。

小才:しょうさい。学びが苦手で成長できない人。
中才:ちゅうさい。そこそこは学ぶが飛び抜けることが難しい。凡人、普通の人。
大才:だいさい。どこからでも学ぶ才能が豊かで器の大きい人物。

江戸時代の初期に康、秀忠、光の3代に仕えた柳生宗矩(やぎゅうむねのり)という人の言葉です。
「徳川が3百年の太平の礎を築くうえで、少なからず貢献した考え方である」という記述もありました。
この言葉には、敵をも味方に変えてしまう「活人剣」という、深遠かつ高邁な思想が込められているそうです。

戦う相手と剣を通じて自分を磨き、相手をも高める…。
簡単に言うと、

人との出会いを大切にしてこそ、
大きな人間になれる

ということだと思います。

時は戦国時代が終わりを告げたばかりの江戸幕府初期。敵を「縁」(味方)と見なすこと自体が驚きに値するのではないでしょうか。

学校、会社、地域、社会…。どれも人の集まりです。
ここで成功を収めるには、人との“関係性”を掘り下げることが絶対条件です。

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◆小才の憤怒
憤怒:ふんぬ=怒っているということ

小才は、縁に出会って縁に気づかず。

学び方を間違えており、人を見る目が狂っているか備わっていないタイプと言えるでしょう。概して自己評価が甘く、相手の良さに思い至らない。目の前の縁が見えないので、いつもぶつけようのない不満や怒りの感情に苦しめられている。

こういう人は、素直に人と相対する訓練を積んでいくことを心がけるとよいでしょう。そして、相手の悪いところが先に飛び込んでくる状態が解消されたとき、中才に近づくそうです。

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◆中才のプライド

中才は、縁に気づいて縁を活かさず。

つまらないプライドが邪魔し、せっかく出逢った相手の懐に飛び込めません。目の前を縁(成長の機会)が通り過ぎるので、言いようのない淋しさや不安に包まれている。

じっくりと人と話し込む習慣をつけていかねばここを脱することはできません。自分の弱みや本心をさらし、相手と裸の心で接する時間を共有できたとき、大才に近づく。

自分の弱点や欠点を覆い隠すことほど、人間として窮屈なことはありません。出会いを通じた成功とは、まだまだ相当な距離があります。


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◆成長の生き様が接した人を成長に誘う

大才は、袖すりおうた縁をも活かす。


大才(だいさい:才能にあふれる人物)は、ほんの通りすがりのようなささいな出会いも大切にして活かすという。

「剣を通じて自分を磨き、相手を高める」

という言葉の「剣」を「ペン(勉強)」に置き換えてみましょう。

「ペン(勉強)を通じて自分を磨き、相手を高める」

勉強って、そういう一面があると思います。…自分も生かし、仲間も生かす。

剣術って昔は人を倒すための「殺人法」でした。
冒頭の柳生家は剣術のことを、人を生かす「活人法」と捉えたのだそうです。



そう、私たちも「活人法の世界」で生きている。

新しい縁を大切に頑張って行きましょう!

では!

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