一眼は遠く歴史の彼方を、一眼は脚下の実践へ

2024年1月19日庭瀬校

年が明け、日が長くなってきました。もうすぐ春です。
今日は新しい学年、新しい環境に向けて、教育者の森信三(もりしんぞう)先生(プロフィールは末尾に記載)の言葉を紹介します。

「一眼は遠く歴史の彼方(かなた)を、一眼は脚下の実践を」

というものです。
生きていくには2つの目線が必要だということです。
どんな目線なのでしょうか。


一眼(一つ目の視線)は、『遠く歴史の彼方』を見る。
ここで『歴史の彼方』とは、昔の話ではありません。
未来の目標のことだと考えたらよいと思います。

・どんな人になりたいのか…例えば、「誰からも好かれる人になりたい」とか「集団の中でリーダーとなって人から頼られる人になりたい」とか

・どんな仕事について、どんなことをやりたいのか…例えば「医者になってこんな病気を治せる人になりたい」とか「発明家になって世界の人から感謝される発明をしたい」とか

・新しい環境でどうがんばりたいのか…例えば「〇〇中学校で成績トップ10に入る!」とか「勉強と部活を両立させてどちらも胸を張れる成績、戦績をたたき出す」とか「新しい環境で信頼し合える親友を作る」とか

何事も、目指す目標がなかったら、どんな風にどのくらい頑張ればいいのか分かりません。
ゴールが分からないマラソンなんて、誰だって不安で頑張り続けられないでしょう。まるで暗闇の中を走るようなものです。

だからこそ、目標、目標像(イメージ)をしっかりと持つことが大事なのです。


その上で、
もう一方の目線は「脚下の実践へ」。
『脚下の実践』(きゃっかのじっせん)とは、日々コツコツと取り組む努力のことです。「脚下の」は「足下(あしもと)の」という意味です。
その日々取り組んでいることが、目標に向かう方向とズレていては、目標が達成されることは決してないでしょう。いわゆる『無駄な努力』というやつです。
また、日々の中で自分が「やりたいこと」を優先していくと、えてして目標実現に向かう「やるべきこと」からは離れていくものです。

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もともとこの言葉は、森信三先生が、人の人生について語られましたが、
昨今ではこれを座右の銘とする社長さんも多いそうで、会社を経営する上での考え方に取り入れているそうです。
「どんな会社にしていきたいか」という目標像に対して、
日々会社でやっている仕事内容が、その目標像の実現に向かっているものかどうか、ズレていないかどうかが大事だということです。例えば、「お客さんがもっとたくさん来る会社にしたい」と思っているのに、実際にやってることが、金儲け第一でお客さんのためにならないことだったり、お客さんが嫌がることだったりすると、お客さんはどんどん離れていってしまいます。小学生でも分かる当たり前のことですよね。


これは勉強においてもすごくあてはまると思うのです。
例えば、
「あるテストで理科、社会が悪かったせいで順位が低かった。
 なので、理科社会でしっかり点を取り、成績を上げていきたい」
と、次のテストまでの目標を立てたとします。

これに対して、日々の勉強(実践)が、それまでより理社の比重を上げたものならば、目標と実践が合っているのでOKですが、そうでなく、それまでと変わらない時間配分や取り組み方だったら、日々の実践が目標にマッチしていないということになります。
日々の過ごし方が変わらなければ、結果(次のテスト)も変わらない。
でも、日々の過ごし方を変えれば、結果も変わってくる。

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⓵未来の目標を見る目、 
②日々の実践を見る目


この二つを持ちつつ、ズレていないか確認しながら日々を過ごすことが大事だということです。
              

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森 信三(もり・しんぞう)先生プロフィール
明治29年9月23日、愛知県生まれ。
大正15年京都大学哲学科卒業。
昭和14年旧満州の建国大学教授、28年神戸大学教授。
「国民教育の師父」と謳われ、86歳まで全国を講演、行脚した。平成4年逝去。
著書は多数ありますが、中でも『修身教授録』は教育界のみならず、愛読書として挙げる経営者やビジネスマンも多く、いまなお人々に感化を与え続けている。
 出典 致知出版社 ウェブサイト
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<おすすめの書籍>
簡単な読みやすい本ではないかもしれません。でも、日々の過ごし方について大きなヒントを与えてくれる名著です。小学生でも、ぜひ読んでみてください。


『修身教授録』 (しゅうしんきょうじゅろく)

かつてこれほどまで強く人の心を惹きつけた授業があっただろうか。本書は、森信三先生が昭和12年から14年までの2年間、大阪天王寺師範学校本科で行われた講義を編集し刊行したものである。その根底に一貫して流れるものは、奥深い真理であり、現代人が失いがちな生き方を教えてくれているように思う。




『10代のための人間学』

中高生に向けてやさしく説かれた生き方指南書である。言葉の一つひとつに、「二度とない人生を真に充実させて生きていってほしい」という、晩年の森師の祈るような思いが込められている。「あいさつ」「清掃」「立腰」といった日常の習慣から、「責任」「自律」「耐忍」「いのち」などの深遠な人生論まで、師がこれだけは子供たちに伝えておきたいという16項目が列挙され、人生の土台を築く10代に最重要な学びがここにある。
若くしてこうした教えをすぐに実感することは稀だろうが、触れているだけでもその後の人生にひらきが出てくる。ぜひお子さんやお孫さんに贈っていただきたい1冊。


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