人生は心ひとつの置きどころ

2024年7月4日庭瀬校

いかなる事態、困難に直面しても、心を常にプラスのほうに転じることができるかどうか—–。

弘法大師空海の言葉。
「同じ水を飲んでも、牛はそれを栄養ある乳にし、蛇はそれを毒にしてしまう。
 尊い教えを受けても、聞く人によってはまったく違うものになる」



同じ状況、環境を豊かな実りにする人もいれば、不平不満の種にする人もいる。
すべては心ひとつの置きどころ、である。




昔、料理の鉄人というテレビ番組で一世を風靡した料理人・道場六三郎(みちばろくさぶろう)氏の話をご紹介します。


道場氏は17歳で料理の道に入った。
修業時代はいつも「人の2倍は働こう」「人が3年かかって覚える仕事を1年で身につけよう」と思っていたという。
早く一人前になりたかったのである。


仕事では「早くきれいに」を心掛け、さまざまな工夫をする。
ネギを切るのに、人が2本持って切っていたら道場氏は3本持って切る。それができたら4本、5本と挑戦する。

だが、スピードアップだけでは人の二倍の仕事はできない。

効率よく働くには段取りが不可欠。冷蔵庫の中を仕切り、どこに何が入っているかメモを扉に貼っておくと、指示されたものをすぐに取り出せ、庫内の温度も上がらない。
「冷蔵庫の開け閉めなんて些細なこと、と思うようでは一流の料理人にはなれない。そういう細かい部分まで意識し、先の先を読むくらいに頭を働かせないと、少しくらいの腕があっても大成しません」
道場氏の言葉。心ひとつの置きどころで【料理の鉄人】は生まれた。

引用元『小さな人生論5』致知出版社


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2年前の3月にこのブログで書いた話です。 『旅人の話/新しい環境にのぞむ君へ』

【旅人の話】

ある町に一人の旅人がやってきました。
町の入り口の門に一人の老人が座っていました。

旅人は聞きます。
「おじいさん、この町はどんな町?」

答える前におじいさんは聞きます。
「あなたがいままでいた町はどんな町でしたか?」

旅人は答えました。
「いやあ、前にいた町は嫌な人ばかりでろくな町じゃなかったよ」

「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」


また別の日に別の旅人がやってくる。
「おじいさん、この町はいったいどんな町ですか?」

おじいさんは同じように聞く。
「あなたがいた町はどんな町でしたか?」

「私がいままでいた町はすばらしい町で、人々は親切で、あんなによい町はありませんでした」

「そうですか。この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

——–

この旅人の逸話が教えてくれるのは、
環境というものは「その人の心が決める」ということです。

冒頭の空海の言葉も同じです。

環境に左右されるのではなく、その中で自分がどう臨むか、が大事です。
環境に不平を言っても何も変わらない。
しかし自分の心と行動次第で、自分が変わり、その同じ環境はキラキラと輝きだす。


みなさんには、どうかそういう心を持つように育ってほしい。
切に願っています。

中学生の期末テストの返却が始まっていますね。
ものすごくいい点を取った!という報告がチラホラ届いています。
キラキラしてます。最高ですね。


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道場六三郎氏の話は、完全に勉強に置き換えられる。

「人の2倍、3倍は勉強しよう」
「人が1週間かかってやる宿題を1日でやろう」
「人が1回しか解かない問題を2回、3回解き直ししよう」


勉強する机、ノートは「きれいに」「段取りよく、早く」を心掛け、さまざまな工夫をする。
だが、スピードアップだけでは人の2倍の伸びはたたき出せない。

効率よく勉強し、結果を出すには段取りが不可欠。
本棚、ノートの整理などは言うに及ばず。
1週間の自分の時間を仕切り、いつどこで何をやるかを決め、目につくところに貼っておく。


電車で通学する10分20分を「わずかな時間」と軽視し、惰眠をむさぼったり、携帯を眺める無意味な時間にしていないか。
そこで英単語の3つ5つでも覚えられないか。それが1か月で90~150語、1年で1000~1800語の差を生むということに気づいてほしい。



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中学生、高校生の多くが取り組んでいる部活動でも同じだと私は思います。

みなと同じ部活の練習時間を過ごしているだけで、2倍の伸び率は出せないが、
早朝の15分とか、夜の勉強の合間に15分素振りをするとか筋トレするとか、、、これを3か月(約100日)続けられたら、1500分=25時間分の特訓に相当する。


私自身の話です。

中学高校時代のテニス部で、どうしても勝てない相手がいた。それも毎度スコア0-6くらいの大差で。部内ナンバーツーが私の固定位置で、プライドの高かった私には屈辱だった。

「あいつは別格」と思っていたが中学3年のときに「このままではいかん」と、寮生活の夜の休憩時間30分に外に出て素振り(いわゆる「コソ練」というやつですね)を始めた。
素振りのやり方もだんだん進化した。ちょうど3か月後くらいからその相手に勝てるようになり、以降部活引退まで一度も負けることはなかった。高2の秋には愛媛県でシングルス3位、彼と組んだダブルスでは優勝した。
(勉強では彼に一歩及ばず、彼は東京大学に合格、私は苦杯を舐めたのですが・・・。笑)

ところが大学に入学して今度は同じテニスサークルに、東京都でベスト256に入った人がいて、ここでも大差で負け続け(こっちは3位、相手はベスト256なのに!驚くべき東京のレベルの高さ)、大学3年で再びコソ練をしたものの直接対決では最後まで彼には勝てず、さらに大学でテニスを始めた天才にぶっちぎりで抜かれたりしましたが、大学選抜メンバー(オール〇〇大学)には選出される・・・といった話もありますが、5000字くらいの大作になってしまうので詳しくは割愛します。(笑)


都度、新たな工夫をして目の前の壁を乗り越えようとするかどうか……
その環境を受け止め、自分を進化させられるかどうかなのです。









大事なのは心ひとつの置きどころ







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