英単語の勉強法
語学学習において語彙というのは言うまでもなく大きなウェイトを占めています。英語もその例外ではありません。書店の参考書コーナーには数多くの英単語帳が並んでいますし、「英語の学習は単語に始まり単語に終わる」という人もいるくらいです。ところがその重要度に比し、「覚えるのが苦手」、「勉強してもなかなか記憶に残らない」という人が多いのも事実です。今日はその英単語の勉強方法について、少し考えてみましょう。
そもそも単語力というのはどういう力を指すのでしょうか。たいていの人は「英単語の意味をたくさん知っていること」だと考えるでしょう。しかし、受験に関して言えばそれだけではなく、「単語をイメージでとらえ、文脈に応じたふさわしい意味を柔軟に導き出す力」も重要になります。というより、むしろ、後者のほうがより本質的な単語力であるとすらいえます。
「単語力」を身につけるには…
おそらく多くの高校生は学校で指定された単語帳を使って勉強していると思います。単語帳を使った学習は受験に出題されやすいものだけを覚えられるという点で非常に効率的ではあります。しかしそれだけで十分な単語力が身につくでしょうか。
実際の英文の中で出てきたものを覚える
やはりそれには限界があります。単語帳だけで勉強してしまうと、どうしても単語の意味を一対一で機械的に覚えてしまい、実際の入試英文を読む際に、柔軟性に欠けてしまいます。ひとつの単語に複数の意味があるにも関わらず、市販の単語帳はそれをすべて載せてくれているわけではありません。しかし、長文で出てきた単語に対し、実際とは違う意味を当てはめてしまい、正確な和訳ができないという事態が生じるわけです。そのため、単語帳の勉強と並行して、生きた英語の中で単語を覚えるという作業も必要になってきます。問題を解いたり長文を読んでいったりする中で、出てきた単語を覚えていくということです。
また、単語を実際に覚える際にも意識しておきたいことがあります。それは「中心の意味」「接頭辞・接尾辞」というものです。
「中心の意味」で覚える
いわゆる多義語といわれる単語にも、それぞれの意味に共通している「中心の意味」があります。これを意識して覚えると、長文の中で意味を考える際に役立ちますし、複数の意味を一気に覚えることが容易になります。たとえば、fixというのはもともと「固定させる」が中心の意味ですが、そこから「日時を定める」「修理する」の意味が出てきます。辞書を引いたり、単語帳で勉強する際には「中心の意味」を意識しましょう。
接頭辞・接尾辞で覚える
これは先ほどの「中心の意味」に通じるものです。接頭辞は接頭語ともいますが、例えばinterfere という単語を辞書で引くと「原義:間に入って(inter)+打つ(fere)」と書いてあります。そこから「干渉する」という意味で単語帳には載っているのですが、このinterは「…の間、相互に」を表す接頭辞です。他にもinteract「相互に作用する」、interval「間隔」といった語で使われたりします。接尾辞はそれとは逆に語の最後につきます。こういった接頭辞・接尾辞を覚えることで、単語が覚えやすくなりますし、やはり長文での未知の単語を推測する助けとなります。
コロケーションを覚える
これは先ほどまでの「単語力」とは少し違った話ではありますが、重要な発想ですので最後にお話しておきます。
コロケーションというのは、「語の慣用的なつながり方」を意味します。具体的には、「動詞+前置詞」「名詞+前置詞」「形容詞+前置詞」「動詞+名詞」などの組み合わせのことです。ざっくり言ってしまうと、「単語の組み合わせにはよく使われる、決まった形があるんだよ」ということです。これは英語に限った話ではなく、日本語にも当てはまります。たとえば「食べる」と「食う」が意味するものは同じですが、「道草」という言葉に対して「食べる」という言葉は使いません。「道草を食う」といいますね。英語に関していうと、「予定を調整してください。」という表現は単に「調整する」だけをとらえて英訳すると
・Please adjust the schedule.
・Please coordinate the schedule.
・Please modulate the schedule.
・Please tune up the schedule.
と様々に書けますが、実際には
・arrange a schedule
という表現が適切です。これは知っているかどうかが問題であり、特に英作文を書くときに重要になります。この例は「動詞+名詞」のコロケーションですが、「動詞+前置詞」のコロケーションも重要です。たとえばsupply A with B で「AにBを供給する」。このwithを他の前置詞で書いてはいけません。動詞と前置詞のセットは決まっているものがあるのです。要はこういった表現をセットで覚えると便利なわけです。市販の単語帳にはたいてい日本語の意味のところに載っているはずです。例文を使って覚えるのも大切ですが、複数のコロケーションが記載されていれば、そこは意識して覚えるようにしましょう。
以上のように、一見がむしゃらに覚えるしかないように見える単語の学習にも、一定のコツがあることがわかります。ただし、苦手な人ほど効率を求めようとしがちですが、結局大切なのは「地道に繰り返し覚え直すこと」です。反復は勉強の基本であり、そこから逃げ出している限り結果はついてこないことを肝に銘じ、これからも英語の学習に励んでいきましょう。