あきらめない

大高校

「聊斎志異」をご存知でしょうか。 中国各地の伝承を集めた短編小説集で、清代に成立したものです。 作者の蒲松齢は、20年余りをかけて約500編もの伝承を集め、全12巻の大作をまとめ上げたといいます。 とても面白い作品で、日本でも抄訳版や完訳版が多数出版されています。

さて、実はこの作者の蒲松齢、たいへんな苦労人です。 19歳で科挙の童試(今でいう大学入試のようなもの。科挙の最初の関門ですが、この時点でとてつもない難関です)に、なんと首席合格! しかし、その後の科挙にはことごとく落第し、官僚になれないまま年齢を重ねていきます。

ところが、彼はあきらめませんでした。 教師の仕事などでなんとか生活しながら、懸命に受験勉強をつづけます。 その結果、46歳で奨学生に。そして71歳のとき、ついに貢生(国の最高学府で学ぶ資格を持つ者)となるのです。

何度も不合格の烙印を押されながら、実に52年間、彼はたゆまず学び続けました。 その間、気持ちが折れそうになったことも、いったいどれほどあったでしょうか。それでもあきらめさえしなければいつか道は拓けるのだ、という希望を、蒲松齢はわたしたちに教えてくれます。

最大の敵は、「あきらめ」に逃げてしまう自分自身の弱い心。 受験生のみなさんが、最後の一瞬まであきらめることなく前進していけますように。

大高校 杉本