『もの』って何?

2024年1月24日倉敷校

こんにちは、倉敷校の沓内です。今回は『もの』についてお話したいと思います。小学校の理科では身近なものについてその性質を学ぶのですが、なぜそうなるのかということには一切触れません。中学校ではものが原子という粒から出来ていることを学び、異なったものを異なった記号で表すことでものの変化の様子がより理解しやすくなります。ですが、生徒の皆さんにとっては理科の中でも特に苦手となりやすい分野のようです。そこで今回は「もの」について、もっとも基本的な所から紹介することで、ものについての理解を深めてもらおうと思います。是非リラックスして読んでみて下さい。

①ものは何から出来ているか

最初に書いたように、ものは原子という粒から出来ているのですが昔からそう思われていたわけではありません。紀元前のギリシャでは、水と火と土と空気の4つで全てものが作られていると考えられました。この考えはその後、約2000年もの間信じられ続けることになったのですが、18世紀後半にものが原子から出来ているという考えが広まっていったのです。そして、原子の種類を表す記号を元素記号といいますが、現在までに118種類の元素が確定しています。

周期表リンク先:http://www.tamagawa-up.jp/book/b67894.html

②宇宙誕生とものの誕生

現在のところ118種類の原子が公式に見つかっているのですが、これらの原子はどのようにしてできたのでしょうか。われわれも机も地球も、生物/無生物に関わらず全て原子からできているのですが118種類の原子が全てはじめからあったわけではありません。おおむね軽い原子からどんどん重い原子が作られていきました。宇宙ができてから約140億年たっていると言われていますが、その宇宙ができてから約38万年までに1番かるい水素原子から3番目に軽い原子までができたと言われています。そして、宇宙誕生から約4億年までにたくさんの水素原子が集まった星ができ、その星の内部で新しい原子が作られていきます。水素などの軽い原子同士が巨大な星の重力によってくっついていき、より重い原子が作られていったのです。この段階では26番目に重い鉄までが作られました。

実は、全118種類の原子の中でもっとも安定なものが鉄なので、それより重い原子は作られませんでした。それではなぜ地球上には鉄より重い原子があるのでしょうか?それは水素など軽い原子を使い切った星が寿命を迎え、最後に起こす大爆発(「超新星爆発」といいます)によって発生した異常なエネルギーを使ってはじめて鉄より重い原子が作られたと考えられています。この時に92番目に重いウラン原子までが作られました。

恒星の成分リンク先:http://www.space-park.jp/events/tenmon/2004/0113/index.htm

③93番目からは全て人工的に作られたもの

地球上には1番軽い水素から92番目のウランまでの元素があります。これは地球が、先ほどの大爆発によって宇宙に飛び散った92番目までの原子が再び凝縮して集まってできた星であることを意味します。爆発した星のかけらが集まって新たな星ができるというわけですね。ですから地球にはもともと92種類の原子しかありませんでした。93番目から後は、全て人間の手で作られているものです。92番目までの原子同士を人工的にぶつけてより重い原子を作っているわけです。

超新星爆発リンク先:http://wadainotansu.com/wp/1338.html

④科学では、絶対に正しいということはない。

以上、ものを作っている元素の誕生について説明しましたが、この説明が絶対に正しいということではありません。現在において、おそらくこうだろうと認められているだけです。科学の正しさは、実験によって裏付けられますが、新しい実験によってこれまでの説明が間違っていると判明することも十分ありえるのです。皆さんも教えられた説明をうのみにせずに、常に「なぜ?」を追求しながら理科の学習を進めていって欲しいと思います。