完璧

大高校

「基礎を完璧にする!」
よく聞かれる目標ですが、さて。そもそも「完璧」とは何でしょう?

時は中国戦国時代。西の大国秦が、北の小国趙に対してこう持ちかけました。
「きみんとこの国宝『和氏の璧』と、わたしの国の城15個を交換してくれないか」

『和氏の璧』というのは、数々の書物にその名が記された伝説の宝石です。確かに途方もない価値を持ってはいるものの、「城15個」というのは国1つ分にさえ匹敵する領土。それを交換しようというのは、いくらなんでも破格です。
趙の王は思いました……「うさんくさい。これは、うまくだまして璧だけ奪い取ろうという策ではないか」
しかし、相手は戦国最強国家の秦です。「いやじゃあ」などとつっぱねたら、それを口実に軍隊を送りつけてくるやもしれません。

一同が困り果てていたところ、ひとりの男が名乗りを上げました。その名は藺相如(りんそうじょ)。彼は趙王に請け負います。
「私が秦に行ってきます。本当に15城を差し出すならそれでよし。もしだまして璧だけ奪い取ろうとするなら、私が璧を完うして帰ります(璧を必ず持ち帰ります)」と。

藺相如が行ってみると、やはり秦に15城を差し出すつもりはないようでした。そこでこっそり部下に璧を持ち帰らせ、自分は時間稼ぎのために秦に残ったのです。
それを知った秦の王は激怒しました。しかし藺相如は最後まで堂々と対応し、その豪胆さを秦王に気に入られるにいたり、ついに璧も自分の命も守り抜いたのでした。

これが「完璧」の由来。すなわち、完璧とは「使命や目的を果たすこと」なのです。
そのためには、まず「目的」の内容をはっきりさせることは必要不可欠。そうでなければ、何を果たしていいのかも分かりませんよね。
自ら立てたあいまいな「完璧」に踊らさるのではなく、具体的に定められた確かな目的を全うすることが大切です。どうかみなさんが、おのおのの「璧」を「完う」できますように。

大高校 杉本