数学の効用②「バースデーパラドックス」
こんにちは。KLCセミナー倉敷校の沓内(くつない)です。
今回は、直感では間違えそうになる確率を取り上げて、それを利用して得をしようとする者たちがしかけるわなを見抜くのに数学が役立つことをお伝えしたいと思います。
たとえば、サッカーの試合が行われるとき、サッカー場に選手とレフェリーを合わせて11人×2チーム+1人=23人の人がいるとします。この23人の中で、お互いの誕生日が同じであるペアがいる確率はどのくらいでしょうか。まずはみなさんご自身で考えてみて下さい。
どうでしょうか?1年は365日もありますから、直感的に低い確率だと思った人が多いのではないでしょうか。しかし、実際に計算してみると50.7%もあり、じつに半分以上の確率で同じ誕生日のペアがいることになります。賭け事でもうける人たちの中には、この直感と現実とのギャップを利用している人が沢山います。恐ろしいことに、このギャップは時として信じがたいほど大きくなります。たとえば今回の例では、23人だと50.7%ですが、30人では70.6%、40人で89.1%、50人では97%まで上昇します。つまり、50人の場合に同じ誕生日のペアがいない方に賭けたとすると、賭けに勝つ確率はたったの3%しかありません。これほど不利になる現実に気付かずに、同じような賭け事を繰り返すことを想像すると、世の中に賭け事で破産してしまう人がいるのもうなずけますね。みなさんは、リスクを背負う時にはそのリスクの大きさだけは正確に計算しておきましょう。
ちなみに、今回の例が直感を裏切ってしまう原因はどこにあったかと言いますと、ついつい「自分と同じ誕生日の人がいる確率」をイメージしてしまうところです。もし最初の問題を、「あなた自身が23人の中に含まれていて、あなたと同じ誕生日の人がいる確率は?」と変えたとすると、その確率はたったの6%くらいにすぎません。「23人の中の、どの2人のペアでもよいから同じ誕生日である確率」だから50%を越えるのです。直感は時として、正確さを欠いてしまい、それが一種の錯覚となることも知っておくと役に立ちますよ。