【理科】岡山県立高校入試突破のために11月にやっておきたいこと
岡山県の高校入試では今年度から問題ページ数が11ページへとほぼ倍増しています。なぜなら大学入試が変わることを見据えて、共通テストを意識した読解力を必要とする問題作成が行われているからです。
理科については、中学校では学習しない項目についても出題され、身につけている知識を使って正解を導き出す力、すなわち自力で考察する力が試されます。
【岡山県立高校入試の特徴】
入試の主な特徴は、以下の通りです。
① 問題のページ数の増加 R2年度はH31年度の約2倍になっている。
② 毎年大問5問構成
1 身近なテーマを題材にした4分野総合の小問集合
2~5 物理・化学・生物・地学から各1題ずつ
③ 問題を丁寧に読まないと間違えるような問題が出題されている。
④ 用語の問題は、教科書の太字以外の用語も出題される。
(太字以外の用語は、中2の生物分野からの出題が多いが、基本的に身につけておきたい用語が多い。)
⑤ 選択式の問題は選択肢を2個までには絞りやすいが、最後の2個から正しい答えに絞るためには多くの知識や考察力が必要である。
⑥ 化学反応式(イオン式を含む)は毎年出題されている。
【岡山県立高校入試のに向けて今初めておきたいこと】
これを受けて、今始めておきたいことを挙げていきます。
① 単なる暗記だけの勉強はしない。
最重要用語の暗記は必要最低限です。その上で用語の意味を説明・記述できるようにしなければなりません。さらに、中2の生物分野に関する用語は最重要用語(教科書の太字の用語)と関連付いた用語も覚えておきましょう。
② 問題は時間をかけてじっくり取り組もう。
昨今の傾向として問題文が長いので、まずは時間をかけてしっかり読みましょう。
実際の入試においては全文読まなくても解ける問題も多くありますが、これから入試問題に取り組む際は、しっかり考えて答えを出すことを優先しましょう。選択肢の問題も、なぜその選択肢を選んだのか自分自身で根拠を持って説明できるようにしましょう。時間を意識して問題に取り組むことは、理科の場合は2月以降に行えば充分間に合うので、過去問演習をする際は、選択肢の問題は特に時間をかけて考えて解く習慣をつけましょう。
③ 記述問題の〇つけは分からなければ先生に聞く。
自分自身で判断できないものは〇つけを先生に委ねましょう。自分で〇つけをすると主観的な判断に陥りやすいためです。先生に客観的に添削してもらうことによって正しく記述力を磨いていくことができます。
最後に、具体的な出題例から、必要な対策を挙げていきます。
出題例①(R2年度 岡山県立高校入試より)
【正答率48.5%】
この問題は実験結果をふまえて考察させる問題で、中学校の教科書には掲載されていません。
<実験結果>
ペプシンとアミラーゼを同時に使うと
・かつお節【タンパク質】→分解された。
・片栗粉【でんぷん】→分解されなかった。
<考察>
ペプシンとアミラーゼを同時に使うとアミラーゼは働かなくなった。
⇒ ペプシンによってアミラーゼが働かなくなった。
【ペプシンは胃液から分泌されタンパク質を分解する酵素(知識)】
⇒ アミラーゼはタンパク質でできているのではないか?
高校生であれば消化酵素自体がタンパク質でできているためアミラーゼが分解されてしまうことは知識として知っています。
中学生でも知識としてだ液にはアミラーゼが含まれていることは知っているので選択肢ア・イは容易に正しい選択肢から外すことができます。また選択肢エは、仮にアミラーゼがでんぷんで出来ていたとしてもペプシンはタンパク質を分解する消化酵素であるため、アミラーゼは分解されず実験結果が変わってくるので、正しい選択肢ではありません。よって必然的にウの答えを導くことができます。
【この問題を解くのに必要な最低限の知識】
・アミラーゼはデンプンを分解する消化酵素である。
・ペプシンはタンパク質を分解する消化酵素である。
【対策】
・どの教科にも共通しますが、普段から選択肢の問題は根拠を、なぜその選択肢が正しいのか考えて解く習慣が必要です。考察が必要な問題は根拠を示せるように時間をかけて解きましょう。
(テスト時以外の普段の学習では、問題の答えが分からないときに勘で答えないようにしましょう。万が一正解すると、その問題を見直さない可能性があるからです。)
出題例②(R2年度 岡山県公立高校入試より)
【正答率30.0%】
誤答理由:a 問題を丁寧に読んでいない。
(この出題パターンは重力の作図と暗記してしまっている。)
b つりあいの力と作用・反作用の力の違いを理解していない。
【この問題を解くのに必要な最低限の知識】
・つりあいの力と作用・反作用の力の違いが説明できる。
『つりあいの力と作用・反作用の力の明確な違いは作用点の場所です。作用反作用の力においては、必ず作用点は同じになるので、床が小球を押す力と作用反作用の関係にある力は床を作用点に下向きの同じ大きさの力になります。』
【対策】
a 昨今の大学入試の変更に伴って、問題文が長く読解量が多いため、自分で読む必要がないと判断した部分は飛ばし読みをして、深く考えずに答えを出してしまった生徒が多いのではないかと推測されます。試験時間は45分あるので、落ち着いて時間をかけて問題に取り組む習慣をつける必要があります。
B 『状態変化と化学変化』・『震度とマグニチュード』・『自転と日周運動』などの同じ分野で出てきた関連する用語は、違いを明確に説明できるようにしておきましょう。出題例③(R2年度 岡山県公立高校入試より)
【正答率49.5%】
実験結果から分かることを記述させる問題で、重要用語を含まないため半数以上の受験者が点を落としています。
【対策】
対照実験を行う問題などで、『何のためにもう1本試験管を用意するのか』などの理由をいつも考える習慣をつけていく必要があります。また、前述したように、記述の〇付けの正解不正解を自分で判断できない場合は先生に〇つけをしてもらうようにしましょう。