数学の効用①

2016年2月17日倉敷校

こんにちは。倉敷校のくつないです。

最近インフルエンザが大流行中なので、皆さんくれぐれも体調には気をつけて下さいね。

算数・数学の授業を担当していて、算数・数学に対する意欲がなかなか湧かない人にどうやって興味を持ってもらおうか日々悩んでおりますが、今回は数学的な考え方が役に立つ話をしてみたいと思います。

突然ですが、あなたが他の2人と合わせて3人でおもちゃのピストルでうち合うゲームをすることになったとします。たまがあたればその人は負けで、最後まで残った人が勝ちとします。ピストルをうつ順番が決まっていて、あなたが最初に打てるのですが、どちらを狙ったとしても当たるのは3回に1回の割合です。それに対して残り2人をAさん、Bさんとすると、Aさんは3回に2回の割合、Bさんは百発百中で狙った相手に当てることができるとします。あなた→Aさん→Bさん→あなた→Aさん・・・・の順で残りが1人になるまでうち合います。このとき、最初にうてるあなたが勝つための最善の方法は?少し考えてみて下さい。

 

 

 

 

①あなたがAさんをねらう場合・・・Aさんに当たってしまったら、つぎがBさんの番なので、あなたは百発百中のBさんに確実にやられてしまいます。そして、Aさんに当たらなければ、生き残ったAさんはきっとBさんを狙うでしょう。なぜなら、Bさんに順番が回ってくればBさんはきっとあなたよりも危険なAさんをまずしとめにかかるはずなので、AさんとしてはBさんに順番が回ってくる前にBさんをしとめたいと思うはずだからです。

②あなたがBさんをねらう場合・・・ではあなたが百発百中のBさんをまずしとめにかかったとします。運よくBさんに当たった場合、次はAさんがあなたをねらうことになりますね。①よりはましですが、それでもAさんはあなたの2倍の割合で当てることができ、しかもあなたが先にねらわれるわけですから、せっかく運よくBさんを倒してもあなたは圧倒的に不利になります。

①と②の状況をよく考え合わせると、3人の中であなたが最もねらわれにくいことを利用して、最初にピストルをうつあなたはAさん,Bさんのどちらもねらわずわざと外すのがもっともよい作戦になります。自分の命中率が最も低いことをネガにとらえる必要はありません。実はこの最善の作戦(=最初にだれもねらわない)をとったときには、AさんとBさんがその後最善の作戦をとったとしても生き残る確率がもっとも高いのはあなたになります。

実際に3人の有利・不利を数字で比べるためには高校3年生の理系数Ⅲが必要になりますが、最善の方法を考えるだけなら上記のように数字の計算は一切いりません。そして計算ではなく、上記のように「論理で考える」力こそが数学の核心部分なのです。

算数や数学の「テストで点数をとる」ためには、計算力は絶対に必要ですが、「計算の背後にある論理」をつかむことが生きるために必要な力になるというわけです。